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主催 建築家・吉田明弘

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わかたけの杜

粋で自分らしい暮らしを可能にする理想的な終の住処

 私どもは横浜市で広く高齢者福祉事業を展開する社会福祉法人若竹大寿会の基幹施設として2012年より計画しておりました、サービス付き高齢者住宅「わかたけの杜」を完成させました。立案に際しては法人理事長の「これまでに無い革新的な施設を」との熱いご要望に応え、『見る・見られる関係』を計画のテーマに、昨今の高齢者を取り巻く環境の変化によって忘れられつつある「近所付き合い」から始まるコミュニティの形成を目指しました。採算性を確保しつつ、緑に恵まれた環境を最大限生かしながら粋で自分らしい暮らしを可能にする理想的な終の住処をつくろうという新しい試みです。

 また、平成24年度国土交通省のモデル事業「高齢者・障がい者・子育て世帯居住安定化推進事業」として関東エリアでただ一つ選定されました。

1.低層連結型サ高住


敷地西側には横浜市の保存樹林を有す緑豊かな環境を近隣に配慮しつつ、

厚生年金受給者層を対象に要支援~軽介護での引っ越しを想定した家賃設定を可能にする数住戸数を確保する必要から、

木造2階建てでありながら空中歩廊で連結された低層連結型の新しい住宅タイプを提案。

配置図

2.外観デザインと「路地」


採光に配慮した雁行配置とし、玄関を向かい合わせることでコミュニケーションを誘発する「路地の魅力」を作る。また、各住戸の外壁の仕上(4色)をランダムに配置することで、入居者が「我が家」を視認できる外観とした。南側に設けた有孔折板によるスクリーンは現代の町屋格子であり、プライバシーを守りつつ生活が外部ににじみ出る仕掛けとなっている。これらデザインコードは全ての建物に及び、敷地景観に調和を生み出している。

雁行する外観

スクリーン

3.「上の路地」をつくりだす空中歩廊


共用部(センターハウス)には木の温もりを感じるリゾート感溢れる食堂とラウンジ、ボランティア室、屋上テラスなどがあり、EVを起点に2階住宅にアクセスする空中歩廊によるネットワーク動線を構築した。「上の路地」と下の「路地」が直交し、入居者の視線が立体的に交錯する。

わかたけの杜について

食堂

上の路地と下の路地

4.可変性と選択性をもった住宅


わかたけの杜では、入居者それぞれの「自分らしい暮らし」にあったニーズに幅広く応えるため、

3種類の個性的な住戸による幅広い選択肢がある。

・50㎡タイプ20戸(南北棟):

可動間仕切りと可動家具による伝統民家建築の「田の字プラン」を採用することによって、入居者が間取り(1DK〜3DK)を自由に設定することができる高い可変性を実現。

・40㎡タイプ4戸(西棟2階):

中廊下側に設けた専用のアウターリビング(光庭)によってどの方位の住戸も一日中明るい1DKタイプ。

・20㎡タイプ:生活の中心となるキッチンを窓側に配置されたワンルーム。保存樹林にに面した静かなリゾートのような共用のリビングを持つ。

5.手厚いサービス体制



・診療所を併設


在宅療養支援診療所は訪問看護を実施し、定期巡回随時対応型訪問介護看護の看護連携型のパートナーとして健康面でのサポートも万全。

竹林に囲まれた診療所

・既存施設(わかたけ青葉:特養 リハリゾートわかたけ:老健)との連携


敷地は同じ法人が運営する老健「リハリゾート青葉(南側)と特養「わかたけ青葉(北側)」に挟まれており、ショートステイ・デイサービス・リハビリテーションによる両施設からの連携を行うことで、訪問リハビリ・通所サービスなどを受けながら生涯にわたって安心して住み続けることができる。

・生活相談員が常駐(障害者の就労を支援)


敷地内には24時間対応「訪問看護ステーション」、24時間対応「訪問介護事業所」による手厚いサービスを行い、各棟に配置されたスタッフは、緊急通報・安否確認・生活相談に加えて、各種アクティビティ(趣味活動、ヘルスケア活動)を企画しながら、住民の参加を促し、コミュニティ形成に努める。あわせて、レストランや売店などを障害者の就労支援の場としても運営する。

6.土地費用の特殊性によるアフォーダブルな事業モデルの提示


URから比較的安価で借地しているため、サービスの質を落とすことなく、近隣マンションよりも価格を抑えた事業モデルを実現。首都圏であっても、土地の手当てが公的になされれば居住が経済的に安定することをモデルとして示す。

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センターハウス外観

ラウンジ

撮影:北嶋俊治

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