学校建築・福祉施設・オフィス・工場をはじめとした設計実績が豊富な建築家・吉田明弘の建築に対する考え方をお伝えしていきます。
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中庭に池をつくることで、豊かな空間と自然の恩恵が得られます。
中庭のメリットは、建物の奥に太陽光を取り込み、外壁から入った風を煙突効果によって、高い位置から排気する自然換気を可能にしてくれます。さらにメリットがあるはずです。
この事例は私どもが山口県の高齢者施設で設けた中庭です。よく見ると池になっており、水と同じピッチで木のデッキが渡されてシマシマ模様になっています。デッキの上には観葉植物が植えられています。この植栽はデッキと同じ面になるように植木鉢が下に埋め込まれています。奥のガラスの中は食堂です。壁面が内外続くので、中庭の外部と食堂の内部の区別がつかない不思議な空間になっています。
中庭を池にすることで空気が冷却されて、食堂は建物の再奥部にもかかわらず、夏は大変涼しくなります。室内の暖かい空気は池で冷却されて今度は中庭を上昇する空気は上層階の部屋にとって涼しい風となります。
池には3m程度上部から水がポタポタ落ちる工夫がしてあります。水の音も人の心を穏やかにしますが、実はマイナスイオンを発生させているのです。
上部から降り注ぐ太陽光は全て壁に反射した間接光となり、程よい明るさがあります。その光が水面に感謝してさらに低い位置から室内に届きます。
池の維持には細菌や藻の発生を抑えるために循環装置とフィルターが必要ですが、池自体の水深は5センチ程度です。小住宅であれば園芸用の小型タイプで十分でしょう。
いかがですか?小さな住宅の中庭でも十分可能です。旗竿地の日射で悩んでいる方が多いようですが、ちょっとした工夫で空間を豊かになり、さらに自然の恩恵を受けることもできます。
最後に、ただ池をつくるだけでは観賞用になってしまいます。中庭の大きさや開口部の工夫などノウハウがあります。
2015年4月6日月曜日